血管の老化を健康診断から読み取る

【日本人は血管の病気で年間約30%の人が亡くなっている】

日本の死因は、1位「悪性新生物(がん)」、2位「心疾患(心臓)」、3位「脳血管疾患(脳)、4位「老衰」、5位「肺炎」となっています。
この2位と3位は心臓や脳などの血管の動脈硬化が主な原因となる病気のことです。
人は動脈硬化をくい止めれば長生きができるかもしれません。

動脈硬化とはなにか?
それは、血管の老化のことです。老化はいつから始まるのか。生まれたときから動脈硬化は始まっています。動脈硬化の状態としては、血管が硬くなり、柔軟性がなくなっていることを指します。機能的には、動脈は、酸素や栄養素を含んだ新鮮な血液を心臓から送り出す血管です。血圧が関係します。より少ない圧力で体中に血液を送り出せたほうが血管に負担がかかりませんし、傷をつけずにすみます。しかし、血管の内壁に余分なコレステロール入り込みプラークというコブのようなものができると血液の流れが悪くなり、より強い圧力が必要になります。そして傷がつくとその組織は硬くもあります。すると血管が破けたり、あるいは動脈瘤(どうみゃくりゅう)ができたりします。その結果、各臓器に血液が流れなくなり機能低下を招き、様々な重篤な病気が引き起こされることになります。

動脈硬化の原因ははっきりとは特定されていませんが、「加齢」と「長年の生活習慣」が大きく影響していると考えられています。
人は年をとることは予防できませんが、生活習慣を改めることはできます。
そして動脈硬化にも種類があり、一般的なものにアテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)があります。この種類の動脈硬化は、脂質異常症や糖尿病、高血圧、喫煙、運動不足などの危険因子により生じると考えられています。
動脈硬化について、約2分間の動画にて紹介しますので、ぜひイメージの参考にして下さい。

健康診断の項目に、血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、NonーHDLコレステロール、空腹時血糖、HbA1cがあります。最低でもこれらの数値はどうか、結果がでたら自分で確認し生活を見直す参考にして下さい。動脈硬化は改善することができます。

【血圧について】

基準値 
収縮期血圧(上の血圧)130mmHg未満
拡張期血圧(下の血圧)85mmHg未満

★血圧のコントロールについて
血圧に関係している臓器は、心臓と腎臓です。

【心臓と血圧について】
血圧が上昇したこと、下降したことを感知するための受容器が、首にある頸動脈(けいどうみゃく)や心臓にある大動脈(だいどうみゃく)にあります。血圧の変動を感知したら、今度は舌咽神経と迷走神経を通って脳の延髄(えんずい)の循環中枢(じゅんかんちゅうすう)に血圧が変動したことが伝えられます。そうして、心臓と血管を支配している交感神経の活動が低下/亢進し、心臓を支配している迷走神経の活動が亢進/低下し、血圧が下降/上昇します。
これらの作用によって、
心臓:心臓の心拍数、心筋収縮力(しんきんしゅうしゅくりょく)、心拍出量
血管:末梢の抵抗血管(ていこうけっかん)、容量血管(ようりょうけっかん)
副腎髄質機能(ふくじんずいしつきのう):カテコールアミンというホルモンの放出

※要点
血圧のコントロールには心臓が関与している。心臓の機能とくに心筋(しんきん)という心臓の筋肉の働き、また、血管も同様に弾力性や収縮するための筋肉の働きが重要な要素となっています。また、心臓と血管を支配している神経の作用も重要です。ホルモンも重要です。

補足:神経の興奮、筋肉の収縮には、カルシウムがとても重要です。カルシウムは腸から吸収されるもの、骨から血液へ放出されるもの、腎臓から排出されるもの、これらでバランスをとっています。このバランスの調節をしているのは、甲状腺から分泌されるカルシトニンと副甲状腺から分泌されるパラソルモンです。体の中の細胞は、常に新陳代謝が行われています。物質を取り込んで、壊されて、排出されます。これが正常で、吸収ばかりしていると病気になりますし、逆に排出しすぎても病気になります。取っては、捨ててを繰り返して常に細胞は新しい状態を維持しているのです。そのときには必ずホルモンが関与しています。

【腎臓と血圧について】
血圧は血液の量によっても変動します。量が多いと血圧は上昇します。
血液の量は、主に心臓の心房(しんぼう)や肺の血管で血液の量、特に減少を感知する働きがあり、それを低圧受容器(ていあつじゅようき)といいます。
たとえば、血液量が減少したときには、低圧受容器で感知し、脳に情報が伝えられ、下垂体後葉(かすいたいこうよう)からバゾプレッシン(抗利尿ホルモン)という尿を抑える物質が分泌されます。その結果、腎臓からの尿量が減り、血液量を増やそうとします。また、副腎皮質からアルドステロンはナトリウムを体内にとどめる働きがあり、これによって血液量は増え、血圧は上昇します。

※要点
血圧には血液量が関係している。血液の量の調節は腎臓で尿として排出する。また、ナトリウムによって血液量を増やしている。
ナトリウムは一般的に塩と考えて間違いない。

【薬での血圧コントロール】
・カルシウム拮抗薬:血管の筋肉に作用する。
・ACE阻害薬:アルドステロンに関係し、体内のナトリウムの貯留をさまたげる。
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬:アルドステロンに関係し、体内のナトリウムの貯留をさまたげる。
・利尿薬:血液量を減らす。
・βブロッカー:心臓に作用して、血液の拍出量を抑える。
・αブロッカー:血管の筋肉に作用して、血管を柔らかくする。

【脂質(コレステロール)について】

基準値
中性脂肪150mg/dl以下
HDLコレステロール40mg/dl以上
LDLコレステロール120mg/dl以下

★コレステロールの消化・吸収について
コレステロールは食品(乳製品、卵、魚、肉、豆、油、アルコール)に含まれています。
コレステロールの吸収、消化に関わっている臓器は、小腸、肝臓、胆のう、膵臓です。
食事をとり、小腸で吸収され、胆のうと膵臓で消化し、肝臓で合成が行われ、コレステロールは細胞膜やホルモンの原材料として使われるようになります。

小腸の特徴は、消化した栄養素のほとんどを小腸で吸収しています。小腸が吸収に適している理由は、ヒダ状のシワになっている大きな表面積にあります。また、毛細血管が豊富なことです。

肝臓は、おなかの右上で横隔膜の下にあり、重さは約1.4kgです。特徴は、食事などでとりこんだ物、たとえば、りんごだとするとりんごがそのまま皮膚や筋肉にはなりません。それをからだの細胞に適した物質に作り変えたり、分解したりしてからだは作られます。その働きをしています。人間のガソリンである糖をつくったり、いろいろな細胞になるタンパク質を作ったり、細胞膜やホルモンになるコレステロールを作ったり、ビタミンを作ったりしています。また、薬やアルコールの解毒作用があります。血液が固まらないようする物質を作っています。体全体の血液の10%をためておいくタンクにもなっています。からだの免疫作用の一部をになう作用があります。

胆のうは、肝臓で作った胆汁をためておく働きがあります。
余談ですが、血液や筋肉は常に破壊され、新しいものに変わっています。その過程で黄色い物質(ビリルビン)が生まれます。これを肝臓で処理し、1日500mlの胆汁が作られます。胆汁には、脂肪を分解する働きがあります。そして最後は便として排泄されます。赤ちゃんは、消化器機能が未熟なので胆汁が酸化して緑のうんちだったり、母乳やミルクのカルシウムや脂肪がそのまま白い色で出ることもあります。しかし、便の色が、赤、クリーム、黒は異常なことがあるので医師の診察をお勧めします。

膵臓は、胃から出た十二指腸とつながっていて体の左にあります。働きは、いろいろな消化酵素が働く場所です。膵液(消化酵素が含まれいている)は自律神経とホルモンで調節されています。

それでは余分な脂肪はどうなるのか。
余分なコレステロールは肝臓に運ばれないで、血液の中に残ってしまい、血管内皮細胞(けっかんないひさいぼう)の隙間を抜けて結果の壁に入り込みプラークというコブができ、血液の通り道が狭くなります。腎臓の糸球体(しきゅうたい)でも同様のことが起こります。その結果、腎臓の機能低下を起こします。検診結果では血清クレアチニン、eGFR、蛋白尿、アルブミンで読み取ることができます。

★コレステロールを下げる薬
フィブラート系:肝臓のリパーゼの働きを活性化し、中性脂肪の分解を促します。薬の名はベザフィブラート。
ニコチン酸:肝臓での中性脂肪の合成を抑制することで、血液中の中性脂肪を肝臓に送ろうとする。薬の名はユベラ。
EPA製剤:青魚に含まれる脂肪酸の一種。薬の名は、エパデール
HMG-CoA還元酵素阻害剤:肝臓でコレステロール合成を抑制し、血液中のコレステロールの取り込みを促す。薬の名はメバロチン。
小腸コレステロール輸送体阻害剤:小腸でのコレステロールの吸収を阻害します。薬の名はゼチーア
プロブコール:胆汁へのコレステロール排泄促進。薬の名はシンレスタール。
レジン:体内の胆汁酸とコレステロールとくっつかせて排泄し、肝臓によりコレステロールの消費を促す。薬の名はクエストラン。

参考:
茨城県医師会の講習会より
平成30年度 特定健康診査・特定保健指導研修会より

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