ヘバーデン結節とは
指のDIP関節に生じる変形性関節症です。
◆40歳以降の女性に多くみられます。
◆非対称で左右どちらか一方から発症します。複数指に発生することもあります。
◆初期には、関節部の痛み、腫脹(しゅちょう)、発赤(ほっせき)、熱感が生じます。痛みは緩解、再発を繰り返します。
◆徐々に骨性隆起(こつせいりゅうき)がDIP関節背側に生じ、痛みがなくなります。
◆関節リウマチとは異なり関節の破壊までは進行しません。関節リウマチとの判別が重要です。
関節リウマチとは
炎症性自己免疫疾患です。
★好発年齢は、30〜50歳代の女性です。
★左右対称性の手指、手、足ゆび、肘、膝関節の腫脹(しゅちょう)、痛み、朝のこわばり、関節の変形です。
ヘバーデン結節と関節リウマチでの変形の違い
画像は、ヘバーデン結節による変形です。
画像は、関節リウマチによる変形で、スワンネック変形です。
ヘバーデン結節と関節リウマチによる変性の仕組みの違い
正常な関節の構造
まずは、正常な関節の構造です。
ヘバーデン結節による変形の仕組み
★関節軟骨の減少から生じます。
★関節軟骨は、それ自体の高い弾性と関節液の潤滑(じゅんかつ)によって関節における衝撃吸収性となめらかな運動性を担っています。
★変形性のメカニズムには不明なことも多いが、関節軟骨の変性や減少に続いて、骨棘(こつきょく)形成などの増殖性変化を生じた結果、関節変形をきたすものと考えられています。
へバーデン結節による変形の仕組み
◆炎症の始まりは滑膜(かつまく)です。滑膜炎が進行することで骨や軟骨の破壊が起こり、最終的に関節破壊を起こします。
ヘバーデン結節に対する西洋医学の見解
初期では痛みが生じますが、変形がある程度進み固定されると痛みは和らぎます。
そのため、西洋医学では時間の経過により痛みがなくなるまで、消炎鎮痛の軟膏、湿布といった保存療法で対処します。
また、ヘバーデン結節は根治療法がありません。そのため、積極的な臨床研究、報告の数が少ないです。
大規模な疫学調査もなく、正確な発生メカニズム、病気の状態は不明です。
ヘバーデン結節に対する東洋医学の見解
医学中央雑誌で鍼灸治療を検索した結果8件がヒットし、どれもお灸による治療でした。
筑波技術大学の東西医療統合医療センターでは、お灸とパラフィンパック療法を合わせた治療をしていました。
ヘバーデン結節に対する治療方法では、温めることで一定の症状の緩解があることがわかりました。
稲荷前はりきゅう整体院では、ヘバーデン結節を起こしている指に対しては、高周波温熱器具を用いて十分に温めます。
また、指が不便なことで生じる腕の疲労に対しては鍼治療を行います。
治療間隔は、症状の程度にもよりますが、まずは1週間に1回を1ヶ月間行います。
治療経過をみて、2週間に1回、1ヶ月に1回と間隔を徐々に長くしていきます。
以下の文献を参考にしました。
・内尾祐司:病気がみえるvol11 140ー145
・森山朝正:図解 鍼灸療法技術ガイド 671ー675
・徳竹忠司:中高齢者の鍼灸療法 34ー43
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