冷え症に対する鍼灸治療(その1)

冷え症とは

◆冷え症は、「他の人が寒く感じない程度の環境温の中にいても寒く感じ、手足、時には腰以下の冷え感を訴える」と定義しています。(京都大学医学部から抜粋)
これは、交感神経の緊張亢進により末梢の血管が収縮し、血流量が低下している状態と考えられています。
ここで重要なキーワードは、交感神経、副交感神経、2つを合わせて自律神経です。

冷え症と自律神経

★冷暖房が自律神経の働きを乱す

空調管理された室内から一歩出ると灼熱地獄や冷凍地獄のような状況に移り変わることを、一日に何度も繰り返すことで、体内の血流の調節を行う自律神経が乱れます。

★ストレスが自律神経の働きを乱す

イライラ、クヨクヨすることです。
過度のストレスにさらされると、自律神経の働きが乱れ、血液循環や腎臓のの機能、ホルモン分泌にもダメージを与えます。
鍼灸には、虚邪賊風があります。
これは、不規則な生活、ストレスは体の抵抗力を弱らせ、そこに、風、寒という邪気が体に入ることで病気になるということです。昔から不規則な生活、ストレスは、病気の原因だと考えられてきました。

冷え症を悪化させる病気

冷え症はあなどってはいけません。冷えは体の機能を低下させます。
★アレルギー性疾患
アレルギー性疾患と冷え症の関係はまだ解明されていません。しかし、不規則な生活やストレスが強いとアレルギー症状が強くでてくるケースを臨床でよくみます。冷えは免疫力を下げることから、関係性はないとは言いきれません。
★膀胱炎
膀胱炎は冬に起こりやすく、冷えによって慢性化したり、治りにくくなることもあります。
★慢性関節リウマチ
冷えると症状が悪化するので、冬の寒さはもちろん、夏の冷房も大敵です。

冷え症だと思っていたら別の病気だった

冷え症が原因で体調が悪いのではなく、体に疾患があるので冷えを感じるということがあります。
★心臓病
心臓の力が弱ったり、鼓動のリズムに乱れが生じると、体の末端部分まで血液が行きわたらなくなり、手足の冷えを感じます。
★甲状腺機能の低下
甲状腺の機能が低下すると、むくみや疲労感、だるさという症状が出ます。また、全身の冷えを感じるようになります。
★貧血
ヘモグロビンの病気ですが、血流が悪くなり、手足が冷えることがあります。
★膠原病
自己免疫疾患です。手足の冷えやレイノー現象を起こすことがあります。
★レイノー現象
急激な寒さにさらされると、手先の指が白や青、赤色になる現象です。膠原病が原因のことが多いです。

画像はレイノー現象が起きた指先です。

冷え症の捉え方は、西洋医学と東洋医学で違う

西洋医学では、冷え症は病気とはいえません。そのため、薬もありません。
東洋医学は予防医学です。治未病ともいいます。つまり、病気になる前に体を整え、重い病気に至らせない医療です。

じっくりと治す鍼灸

鍼灸では、病気を体の「気・血・水」のバランスが崩れた状態ととらえます。
そのバランスが崩れる原因は、過労や不眠、食生活の乱れ、さらに、その人の体質も関係しているとしています。
そのため、同じ症状でも人によって、治療方法が違います。
鍼灸では、昔から、体の冷えを健康上の問題として、積極的にその治療に取り組んできました。
鍼灸は、慢性病や体質改善を必要とする病気に向いています。

冷えの治療、ツボの紹介

鍼灸では、治療に経血を使います。経血はツボともいいます。
ふくらはぎは、下半身の血流を心臓に戻す役割があります。
そのため、多くのツボがあります。
★三陰交
・水分の代謝を助けるツボです。
・冷えからくるむくみに効果的です。
・内くるぶしから指三本分上の位置にあります。

冷え性に対する鍼灸治療については、以下の参考文献をつかいました。
参考文献
坂口俊二:図解 鍼灸療法技術ガイドⅡ 文光堂 431−441

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