腰部脊柱管狭窄症とは
◆腰部脊柱管狭窄症は、骨の問題を原因とする脊柱管の狭小化がもとにあり、神経根や馬尾神経を刺激しておこる疾患のことです。
◆好発年齢は、中高年者に多くみられます。男性の場合は、変形性脊椎症が由来ものが多く。女性の場合は、変形性すべり症が由来のものが多いです。
◆進行は、徐々に進みます。
◆症状の特徴は、殿部から下肢にかけてのしびれや痛み、脱力、神経性間欠性跛行がみられます。
◆会陰部のしびれや灼熱感、膀胱直腸障害などの馬尾症状が現れた時は、手術を検討するケースが多いです。時に、尿が出なくなった時は、早急に手術をしないと予後が悪いケースがあります。
脊柱管狭窄症の原因
・加齢による脊椎の変形が最も多いです。これは、長年の姿勢不良もあるが、加齢とともに体重の増加、筋肉量の低下などもあいまって起こることです。
代表的な退行性の変性
・椎間板の狭小化、及び、椎間板の狭小化に伴い脊椎すべり症が起こることもあります。
椎間板は本来、ゼラチン状のやわらかい組織でできています。脊柱の動きや荷重によって変形し、衝撃を吸収する働きがあります。椎間板の変性は、10代後半から加齢やストレスなどで水分が減少し、弾力性が低下します。
・脊椎に骨棘が形成することがあります。本来の脊椎の縁は丸いですが、骨棘ができることで丸が尖ってしまいます。
病態
★脊柱管が狭窄すると、神経組織を圧迫し、圧迫部位の血流不良や脳脊髄液の還流不全を起こし、神経組織が栄養不良をきたします。
★圧迫される神経組織は、馬尾神経と神経根に分けられます。
★神経根管中枢部での圧迫が最も多いです。
★第4、5腰椎に好発します。
神経根障害の特徴
★デルマトームに一致した感覚障害や疼痛です。
★ミオトームに従った支配筋肉の運動麻痺です。
末梢神経障害の特徴
★障害された神経の支配領域に一致した感覚障害です。障害部位が複数のデルマトーム領域にまたがるということです。
★障害された神経による支配筋の運動麻痺です。障害部位が複数のミオトーム領域にまたがるということです。
♠馬尾症状
・膀胱直腸障害があります。尿意の切迫感、残尿、尿閉があります。
・異常勃起があります。
・両下肢、殿部と広範囲に異常感覚(脱力、しびれ、灼熱感、ほてりがあります。
間欠性跛行
脊柱菅狭窄症の特徴的な症状です。
・前屈姿勢で症状が軽減します。
脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療
★鍼灸の刺激で血管を拡張させ、神経に栄養を供給させます。
稲荷前はりきゅう整体院では、経穴を用い、低周波鍼通電療法を行います。
動物実験の段階ではありますが、低周波鍼通電療法を行うことで、血管拡張神経を興奮させ神経血流が増加することが明らかになりました。神経血流の増加により、神経に酸素や栄養素を正常に供給することができるようになります。
また、低周波鍼通電療法によって、血管拡張物質であるサブスタンスPやCGRPの増加が体内で起こることが明らかになりました。これにより、筋血流が増加し、こりや筋疲労の改善につながります。
棒グラフでは、鍼灸(ACP)をすることで対照群よりも血流が増加したことを示しています。
筋力アップ(再発防止のために)
鍼灸である程度、症状の軽減がみられたら、脊椎を支えるための筋力アップが再発防止につながります。
★腰背部のストレッチ
★腹筋群の強化
★背筋群の強化
★大殿筋、中殿筋、小殿筋の強化
以下の文献を参考にしました。
・粕谷大智:腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療の臨床的研究 201-206
・大谷晃司:病気がみえるvpl11 260-263
・出端昭男:鍼灸臨床 問診・診察ハンドブック 33ー57
この記事へのコメントはありません。